「ウィキペディアの『関東軍』に、『司令部は当初旅順に置かれたが、日満議定書(1932年9月15日)後は満州国の首都である新京に移転した』と書かれています。」

「『関東軍』という言葉は、先ほどもでてきましたが?」と町会長。

「ウィキペディアの『関東軍』に、『関東軍は、大日本帝国陸軍の総軍の一つ・・・大日本帝国が中華民国から租借していた、遼東半島先端に位置する関東州の守備、および南満州鉄道附属地警備を目的とした関東都督府の守備隊が前身』という説明があります。」

「なるほど。ところで、新京から船の出る港まで、どのくらいあったのですか」と町会長。

「直線では走れないので、数百キロ走ったのではないかと思います。」

「1日40キロ走っても、10日以上かかりますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。途中で食料が尽きてしまったので、赤土を食べたと言っています。」

「赤土は食べられるのですか」と町会長。

「父は、『赤土で栄養を補給した』と言っていました。」

「『赤土』に栄養があるのですか?」と町会長。

「そのときは、ミネラルは摂れるのだろうと思ったのですが、目が陽になってからウィキペディアを調べると、ウィキペディアの『赤土』に、『中国の“紅土” - 中国では、「東北部の黒土、西北部(甘粛省など)の黄土(レス)、南西部の(雲南省など)紅土」といった言い方をすることがある』という記載がありました。」

「お父さんは、満州にいたので、『東北部の黒土』を食べたということですか」と町会長。

「直接聞いてはいませんが、そういうことになります。」

「『東北部の黒土』は、日本の赤土と違って、栄養があるのですか」と町会長。

「ウィキペディアの『チェルノーゼム』に、『黒土は東ヨーロッパ、北アメリカ、中国東北部など世界の各地にあり、非常に肥沃な黒色の土壌(成帯土壌)で、農業に適している・・・チェルノーゼムは、草本などの遺骸からつくられる腐植層が降水量の低い地域(ステップ気候)のために流出を免れぶ厚く蓄積している』という記載があります。」

「『草本』と言いますと?」

「ウィキペディアの『草本』に、『草本とは、一般に草(くさ)と呼ばれる、植物の生活の型の一つである』という説明があります。」

「なるほど。草の腐植層であれば、多少の栄養はあるかも知れませんね」と町会長。

「おっしゃる通りです。白菜の漬物程度の栄養はあるのかも知れません。」

「しかし、草の腐植層であれば、バクテリアやカビや昆虫の幼虫などが混じっているのではありませんか」と町会長。

「そうかも知れませんが、食べなければ走れないので、食べたのだと思います。」

「そして、毎日、立川まで走っていたので、船の出港日に間に合って、日本に帰れたということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、お父さんは、敗戦を予測して、日本にいるとき、数十キロ走っていたということですか」と町会長。

2021/5/20

<筆者の一言>
東大系が毎日5キロ走るのは、30過ぎると基礎代謝が著しく低下するという科学的事実によるものだ。同僚は、息子が小太りなのも走っていない事も知っていたので、30過ぎると大変なことになると思っていたに違いない。そして、長崎ビューホテルの接待的出張から返ると、ブクブクと太り始めたことに気がついたのだ。皆が、『やっぱりね』と思ったに違いない。

ところが、1ヶ月もすると6キロも痩せて顔つきも変わってきた。誰もが痩せ始めたのに気がついたに違いない。そして、『もしかして、渡辺君て、不可能を可能にする男なのか』とも思い始めてたに違いない。『リバウンドはあるよね』と内心は思っていたかも知れないが、科学的事実に反して、痩せ始めた息子の強い意志力に対して敬意を払い始めたようだ。息子は、同僚の態度が変化したのを感じて、やる気を出したようだった。<続く>

2024/5/7